アセット・アロケーション(資産配分)という考え方 ~ 公社債と株式の投資配分を考える。
アセット・アロケーション(資産配分)という言葉は日本ではあまりなじみがないかもしれませんが、シンガポールでは銀行の担当者が耳にタコができるほど口にし、オンラインの口座管理画面にも必ずあります。
日本で投資といえば、ETFなどの投信も含め株式が預金以外の資産の大半になっていることが多いと思いますが、一般的に言われている資産における株式配分は100から自分の年齢を引いた数です。現在55歳の私でしたら、株式は45%までが定石。
ではそれ以外のメインの投資先は何かといえば、Fixed Income(公社債)です。
公社債は債権ですから、国や会社が破産しない限り元本は保証され、クーポンという利子が毎年必ず支払われます。日本でいえばソフトバンクが1.5%~2%程度の個人向け社債をたびたび発行していますし、こちらは投資家向けですが、武田薬品がシャイアー買収資金調達のため今年、利回り6%で5000億円規模の社債発行を発表しました。
公社債は株式のように元本が市場で上がることがあまりなく、インフレに弱いのが弱点ですが、定期的に必ず支払われる金額が約束されているのでリタイア世代には必須の金融資産と言われます。単体でも買えますが、投資信託の中にも公社債で構成されたものがあります(各国の国債ではテンプルトンの世界債権ファンドなどが有名です)。
こちらは、リタイア後のモデル配分を解説しているサイト。
70歳以上、80歳以上で投資リターン以外に収入がない層については、公社債50%をもつよう推奨しています。
冒頭の写真は現在の私がHSBC銀行に預けている資産のアセット・アロケーション。公社債が42.99%と少し低めなのは、社債をもっていたシンガポール企業のHyfluxが経営破たんしてその評価損が償却されてしまったため。まだ最終どれだけの損になるか確定していませんが、滅多に起こらないはずの倒産に遭遇してしまいました(涙)。
こちらは地域配分です。
口座を作ったばかりの頃はどこに投資したらいいかわからず、分配率のいいアジア株式の投信などを適当に選んだり、担当者の言うままに買ったりしていましたが、少しずつ自分で勉強して、今後成長が期待できそうなシンガポールの会社の株式や社債、それらを含む投信に買い替えていった結果、3/4以上がシンガポール企業への投資になりました。
ただし、シンガポール企業といっても投資先の多くがアジアや欧米の国々だったり、他のアジア企業がシンガポール証券市場に上場していたりするので投資先の会社の中身をよくよくみるとけっこうグローバルな投資になっています。また、今後はもう少しインドやインドネシアに投資を振り向けたいとも考えています。
自分の資産配分を教えてくれる画面は、この2つ以外にも、直接株式をもっているのか、投信なのかなどの資産のタイプや、もっている資産の業種(金融、産業、不動産など)などがあり、今後の自分の経済予測に基づいて投資を見直していくための材料が揃っています。これはシンガポールでしたらどこの銀行のプレミアム口座でもたいして変わらないと思います。
日本でも以前、オンライン証券会社の口座を作ったことがありましたが、このような自分の資産配分を分析できるようなデータ提供はありませんでした(現在はあるのかもしれませんが)。
私も含め、リタイアメント後の生活のために投資を始める人たちのほとんどは投資の素人で、一部のセミプロと違い、毎日投資のことばかり考えているわけではないと思います。そんな素人でもそこそこセミリタイア後の生活費を稼げている(Hyfluxのような失敗もたまにありますが)理由の一つは、アセット・アロケーションをはじめ資産をバランス良く運用していくアドバイスを金融機関からもらっているからかなとも思います。