スーパー後期高齢者のスタミナの秘密は究極の「小食」
前首相との壮絶なバトルを経て93歳でマレーシア首相の座に返り咲き、あと数カ月で95歳の今もかくしゃくとして激務をこなしているマハティール氏。
連続ドラマ『まんぷく』のモデルとなったチキンラーメンの発明者で、96歳で亡くなる当日までばりばり現役で日清食品トップとして仕事をされた安藤百福氏。
聖路加国際病院の名誉院長として105歳で亡くなる間際まで、診察や執筆、講演などをこなして精力的に活躍された日野原重明医師。
この超人的な後期高齢者たちに共通するある習慣はというと、
「小食」です。
心臓病や肺炎などの既往症もあると語るマハティール首相の、もともとの職業は医師。その生活はといえば「必要最低限の食事で生きている」。The Strait Times紙の別の記事でも、自ら経営するクアラ・ルンプールのレストランで行われたインタビュー中、非常に若々しい外見やしっかりした話の内容と好対照に、あまりにも食べないので驚いたとインタビュアーが書いています。
安藤百福氏は長年、お昼にチキンラーメンを食べる習慣でした。しかも、そのサイズは「ミニ」。週2回はコースに出てゴルフをする、と相当な運動量をこなしていたにもかかわらずこの量の食事ですから、朝も夜も推して知るべし。チキンラーメンの元祖にとって一番のご馳走はチキンラーメンだったに違いありません。
そして日野原医師。医師だけあって科学的に解説。
食事は1日1300キロカロリーと決め、夜だけご飯を食べます。肉を1日おきに80グラムくらいずつ食べる。野菜はお皿いっぱいたっぷりと。米国の実験で明らかにされているんですが、飽食のマウスよりもハングリーなマウスのほうが長生きする。ローカロリーこそ長寿の秘訣というのが、最近のアメリカの知見なんですが、僕はそれをかなり前から実践している。
あれだけの激務をこなしながら、たった1300キロカロリー。厚労省のガイドラインを基にしたある記事では、70代男性の普通レベルの活動量で必要とされるのが2200キロカロリー、低いレベルでも1850キロカロリーとされていますので、1日に1300キロカロリーだけしか食べないのがどれだけ小食かわかると思います。
昔、不老不死の仙人となった人々は霞を食べて生きる、と信じられていましたが、まさに彼らは仙人レベルの食生活を送っていると言えるでしょう。
もう少し若手では、タモリさんやビートたけしさん、星野リゾート代表の星野佳路さんなどが、1日1食主義を貫いていると話しておられます。そして、みなさん一様におっしゃるのは、小食にすると体調がよくなるということ。
私も昨年の夏、あまりに多忙できちんと食事をする時間が取れず5kg近く体重が落ちてから、非常に体が軽くなり体調が良くなりました。それ以降、意識してあまり食べない生活を心がけています。夫や子供がいるので自分だけ一日一食はムリですが、空腹な時間をできるだけ長くとるよう配慮。
肥満や栄養過多は高血圧症、糖尿病などの疾病の大きな原因の一つだと言われます。確かに飽食の時代に若いときと同じ食生活をずっと続けていたら、生活習慣病になる確率は上がって当たり前。小食を心がければ生活習慣病のリスクがぐっと低下するはずです。
生活習慣病とは無縁で、できるだけ長く現役でいるために、小食は試してみる価値があるのではないでしょうか。