ミセス・ロウのシンガポール/石垣島デュアルライフ

50代から二拠点生活。都会&田舎で暮らす。

ハルヴァに惹かれてタヒニ・ブラウニーを作ってしまった顛末

ヨタム・オットレンギは今をときめくロンドンの有名シェフ。

 

エルサレム生まれ。テル・アビブ大学で比較文学を専攻し学問の道を目指すも、途半ばで進路変更。かのル・コルドン・ブルーで調理技術を習得し、ロンドンの名門レストラン数店で修業した後、2002年満を持して自分の名前”オットレンギ”を冠したデリをノッティング・ヒルに開店した。あっという間に有名店になり、次々と支店や新しいレストランを展開していきます。

 

2006年からはGardian紙に「ニュー・ベジタリアン」というコラムを書くようになり(ベジ料理は多いですが彼自身はベジタリアンではないそう)、2008年に出版した最初の料理本『Ottolenghi The Cookbook』は10万部を超えるベストセラーに。2011年からはBBCをはじめテレビ番組のホストもつとめるようになり、著作も次々と発表。まさに今をときめく人気シェフなのです。

 

オットレンギの人気の秘密は、ローズウォーターやザタール、ざくろジュースなど中東のスパイスや調味料と、もともとヨーロッパで使われていたハーブや野菜などの食材をミックスし、調理法は伝統のコルドン・ブルー式。どこかエキゾチックだけれど基本的にはイギリス人が日常食べているものとそれほどかけ離れていない味を実現したところにあると思います。

 

惹かれるのはイギリス人に限ったことではないようで、私がオットレンギを知ったきっかけも夫の転勤でロンドンに移住してそのまま住みついてしまった友人がはまり、毎日のようにオットレンギのレシピをもとに作った料理をInstagramにあげてきたこと。そんなに美味しいのなら、と私もいくつか彼女のレシピをもとに作ってみたら、これがなかなかいける。もともとスパイス好きな私はいろいろなスパイスの使い方が覚えられてよい、と一緒にはまってしまったのでした。

 

オットレンギのレシピはこちらからも見られますが、もうちょっとまとめてみてみたいと私は本も購入。中でも一番のお気に入りがこちらです。

 

購入したのはいわゆるコーヒーテーブルブックの豪華装丁本ですが、重くて日本帰国時に持っていけないので、Kindle版も買おうかと検討中。安いし。

 

何がいいかというと、この本、マレーシア系オーストラリア人で現在、オットレンギのペイストリー部門でメニュー開発をしているヘレン・ゴーという女性との共著で、マレーシア系だけに東南アジアや沖縄で比較的簡単に調達できる食材やハーブ、スパイスがふんだんに使われていること。トロピカルフルーツのパイやパイナップルタルトなど、おなじみのメニューがプロっぽくアレンジされているところが高得点なのです。

 

もちろんオットレンギもペイストリー・シェフ出身なので「これは彼のメニューだな」という一品もけっこうあります。夫のお気に入りはスパイス・クッキー。勝手にアレンジしていますが、主にインドや中東で使われるスパイス5種類をたっぷりラム酒と生地に練りこみ、白ゴマをかけて焼いたクッキーは最近の我が家の常備スイーツ。たくさん作って義父母や義妹弟の家族に配ったりしています。

 

で、少し前から作りたいなーと思っていたのが冒頭の写真のメニュー、Tahini and halva browniesです。ハルヴァ入り、めちゃめちゃ甘くてねっとりしていそう。

 

タヒニは練りゴマのこと。ひよこ豆ペーストのフムスなどにも使いますので、我が家では500mlのボトルを常備。でも揃わないのが肝心のハルヴァでした。

 

ハルヴァといえば思い出すのが米原真理さん。子どもの頃に東欧で米原さんが食べたハルヴァのこの世のものとは思われない美味しさを描写したエッセイは以前読んだことがありました。どんなものだろうとずっと思っていたのですが、2013年にNHKの「グレーテルのかまど」で紹介された作り方と完成形を見ていたら、ひょっとしてトルコやイスラエル、チュニジアでも食べたことがあるものかも、と思いました。

 

「ハルヴァ」とはもともとアラビア語で「甘いもの」という意味だそうです。ナッツやらドライフルーツやらに蜂蜜やら水飴やらをどっさり加えて焼き、少し歯ごたえのあるヌガーのようにしたものじゃないか。日本でいうと縁日の屋台で売ってるピーナッツを固めた飴みたいな。そういえばシンガポールにも似たものがあるけれど、もうちょっと柔らかい。これに香辛料と蜂蜜を加えて焼いたら「ハルヴァ」になるかも。

 

とつらつら思いつつ、でもハルヴァまで作るのは面倒すぎるのでこういうヘンなものなら何でも売ってるムスタファ・センターに買い出しに行こうかなーとも考えつつ、結局はハルヴァの代わりにアーモンドとコアントローに漬けたブラックカラントをたっぷり詰め、タヒニを上から垂らしてブラウニーを作ってしまったのでした。

 

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タヒニ加えただけでもじゅうぶんエキゾチックな味。

ブラウニーもピーナッツ飴大好きな夫が「これはとってもうまい!」と喜んで食べました。次にトルコに行った時には忘れずにハルヴァを買ってきたいです。

 

レシピはこちら。

タヒニがなくても練りゴマで代用可能です。