ミセス・ロウのシンガポール/石垣島デュアルライフ

50代から二拠点生活。都会&田舎で暮らす。

誰もが引きこもりになる未来~鈴木貴博著『格差と階級の未来』

Blogos掲載のブログ記事で米国流通業界コンサルタントの方が書いた、これまでに続き今年も大量の小売りチェーン店が閉鎖に追い込まれて米国のショッピングモールが空洞化していくだろうという記事を読みました。

blogos.com

私が初めて米国を訪れたのは今から35年以上前のこと。ホストファミリーに連れていってもらったロサンジェルス郊外の大型ショッピングモールでは、これまで見たこともないような色とりどりの商品の洪水と、アメリカ映画に出てくるような幸せそうな家族連れで溢れ返り、まるで夢を見ているような時間を過ごしました。

 

そんなおとぎの国のようだったショッピングモールが現在では見る影もなくなっているということ。そして今後もその傾向は加速していくという予測。一つの時代が終わったというより、これからどうなってしまうんだろう、という背筋が冷たくなるような不安を覚えます。

この本では、今後、小売業はもとより、AI導入によって現在は高い技術や技能の対価として高い俸給を支払われている頭脳労働の仕事がどんどんなくなっていき、技術者や事務職の年収が低下して、中流階級がさらに縮小するという未来が語られます。

 

その結果「新下流層」が拡大して中流階級に代わるマジョリティとなり、世界的に購買力が低下。一方でスマホとコンビニさえあればじゅうぶん満足、という意識の人々が増加し、消費はさらに停滞するものの、大きな社会的不安は引き起こされないだろうといいます。

 

そして、新下流層が大量に消費したり車で出かけたりしなくなることにより、解決すべき喫緊の課題である地球温暖化問題まで氷塊するだろうと予言するのです。

 

現在、中国ではネットショッピングの利用割合が世界最大で20%、それに続く米英では15%と言われています。たったこれだけの買い物がネットに変わっただけで、冒頭のような米国ショッピングモールの壊滅状態が現実のものとなっています。

 

それがさらに進行し、筆者が描くような未来が現実になった暁には、人々の欲求は実際のモノ消費ぬきのバーチャル世界の中でのみ開花し、現実世界は一段と錆びれていくのではないでしょうか? まさに映画『マトリックス』や『レディ・プレイヤー1』の世界です。

 

荒唐無稽な空想のように聞こえるかもしれませんが、日本のシャッター商店街なみにゴーストタウン化した米国ショッピングモールの写真を見たり、タブレットで猫の着せ替えゲームに熱中する9歳の娘の姿を見ていると、そんな妄想が現実になりそうな予感がしてなりません。