ミセス・ロウのシンガポール/石垣島デュアルライフ

50代から二拠点生活。都会&田舎で暮らす。

八重山と台湾は同じ文化圏?

旧暦の元旦から十六日目に祝う十六日祭は、八重山地方の人々にとって大切な年中行事。親戚一同がご馳走を持ち寄ってお墓に集まり、賑やかに飲み食いしながら正月を先祖とともに祝います。今年は2月20日。

 

ご近所のカフェにお邪魔して「今年の十六日祭は仕出しの注文が多すぎて午前1時から仕込みしたー!」という話を聞いていて驚いたのは、この風習、石垣島を含む八重山地方と宮古地方(まとめて先島諸島と呼ばれます)&台湾にしかないというのです。

 

逆に、同じくお墓で先祖とともに宴会をする清明祭(沖縄では「シーミー」中国語では「チンミン」)は旧暦の3月に行われますが、香港も含めた中国全土&沖縄本島地域、東南アジアの華僑まで祝うとてもポピュラーな行事なのにもかかわらず、先島諸島&台湾にはその習慣がないそうです(現在の台湾では戦後、中国本土から入ってきた人々も多いため、一部では祝われていると思います)。

 

その理由は地図を見ると一目瞭然。

 

八重山諸島の中心である石垣から台湾の首都台北までの距離はわずか273㎞なのに対し、石垣から那覇までは411㎞。台湾に行くより那覇までのほうが1.5倍も距離が長いのです。気候はもちろん、互いに文化が似てくるのは当然といえば当然の話。

 

八重山よりさらに中国から離れている沖縄本島地域の方がより大陸文化に近いのは、琉球王朝時代に輸入した中国文化の影響であると考えられます。お墓で宴会をするという文化は同じでも、マージナルな地である台湾や先島諸島では、少しずれた形でこの文化が伝わったのか変容したのではないでしょうか。

 

実際に石垣島に住んでみて思うのは、沖縄本島周辺地方と八重山地方では、人々のメンタリティにも風俗習慣にもけっこう大きな隔たりがあるということ。一口に「沖縄」といっても違うところが多いなーといつも思います。

 

それに反比例するように、八重山地方の人々は台湾と昔からとても密接な関係を築いてきました。

 

石垣島には台湾からの移住者が開拓した村がありますし、移民2世、3世の数も少なくありません。八重山では特産のパイナップル栽培を持ちこんだ台湾移民の人たちはとても尊敬されています。台湾ルーツの人と地元の人が結婚し、食べ物をはじめ台湾文化が根づいている家庭も少なくありません。

 

沖縄であることには間違いありませんが、台湾ととても深い関係にある八重山地方。奥が深いです。