ミセス・ロウのシンガポール/石垣島デュアルライフ

50代から二拠点生活。都会&田舎で暮らす。

調理技術さえあればリタイア後も怖くない。

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ランチのスープビーフン。材料費は7~80円程度ですが外食で食べると300円くらいになります。

前回、いざという場合を考えて、いったい一カ月いくらあれば暮らしていくかを考えた記事を書きました。 

www.mrs-lowe.com

 

改めて計算してみて思ったのは、家賃を払っていなければ、生活費の中で最も比重が大きいのは食に関する費用だということ。最近ではめったに聞かなくなりましたが、以前はエンゲルス係数という言葉があり、 家計の中で食費が占める割合が多ければ多いほど貧乏である、というのが当たり前でした。

 

しかし現在は若干、事情が異なります。

 

まず、材料を買って食事を「作る」ではなく、すでに調理されたものを「買う」人が圧倒的に増えたこと。そして、外食がひと昔前のような特別なイベントではなく、日常行動の一つになったこと。

 

例えば私が住んでいるシンガポールのような東南アジアでは、気温が年中高く、冷蔵庫が普及していなかった時代からずっと、衛生面からも家で作るより外食する方が合理的でした。そのため、屋台で日常的に食事をとるという文化が発達しています(現在でもこちらでは三食外食、という人も珍しくありません)。

 

これを日本に当てはめると、三食コンビニ弁当やスーパーのお惣菜を食べているというような感覚でしょうか。数人の家族分の食事を作ることを考えたら高くつきますが、一人暮らしだったらかえって安く上がるというのが特徴です。

 

しかし、本気で節約しようと思ったらやはり自炊。自分で栄養バランスを考えながらメニューを作れば外食や中食よりヘルシーですし、作り置きしておけばその都度食事のために外に出たり買いに行く手間も省けます。

 

私が料理を始めたのは、とにかくいつもお金がなかった大学時代。今でもよく覚えていますが、1パック100円台(確か100g80円くらいだったと思います)の鶏の小間切れとキャベツと卵で作る親子丼が定番食でした。お気に入りのラーメン店の醤油ラーメンが1杯300円くらいだった頃。自炊すると5~6食でラーメン1杯分でした。

 

ブラジル産の2㎏入りがどこでも売っている現在のシンガポールではさらに鶏肉は安く、100gあたり50円以下。我が家では夫も娘も鶏肉大好きなのでいろいろな調理方法でよく作りますが、鶏肉を使ったときのメニューはもう1皿野菜メインの1品を入れても、3人分で1食500円以下、メニューによっては1人あたり100円以下に抑えることも十分可能です。

 

さすがに毎日鶏肉では飽きてしまいますのでバリエーションはつけますが、鶏肉ではなく豚肉や牛肉、魚介類をメニューに入れるとぐっと1食あたりの材料費は上がりますので、週単位で鶏肉より安い豆腐製品をメインのたんぱく質にする日を作ったり、たまには贅沢なサーロインステーキを入れたりして調整。こうして毎食すべて家で料理すれば3人家族で1日1,000円以下の生活は十分可能。

 

月間の食費、1人あたり1万円以下です(光熱費は除く)。

 

問題は、同じような材料で(高級スーパーで売っているような珍しい材料や調味料を使うとあっという間に単価がアップしてしまうので)、毎日飽きずに家ご飯を食べるには調理技術が必要だということ。

 

いくら手前味噌でも、学生時代の日常食だった鶏肉とキャベツの親子丼を毎日食べるのはさすがにもう嫌です。

 

この数年間更新がなくてたいへん残念ですが、センス抜群の毒舌と独創的なおにぎりアートが大好きだった極貧OLスーパーかのみさんのブログに出てくるワイルドな自炊ご飯も、家庭もちとなるとなかなか難しい(1人暮らしだったら絶対マネしてると思います)。

situgyoujosi.blog.fc2.com

 

いろいろ考えると、やはり身近に手頃な価格で手に入る食材を利用して毎日飽きずに家族で食べられることを念頭に、栄養バランスも考えつつ料理を作るには、 基礎的な栄養学の知識と調理技術の取得が絶対に必要だと思います(欲をいえばムダなく材料を使い切る在庫管理のスキルや、買い物をする時に一瞬でコスト計算できる原価計算スキルもあるとベター。プロの厨房では必須です)。

 

残るは調理技術だけ。

 

勝間和代さんのように高価な調理器具にこだわるのもいいかもしれませんが、私の経験からいうと、30年以上の料理経験の中で、一番調理スキルが上がったのが2か月の調理師学校での勉強でした。

 

アマチュア向けのお料理教室と違い、プロ向けの調理師学校では理論と実技が必ずセットで、「なぜそうなるのか?」を教えてくれます。そうすると細かい技術の一つひとつに納得ができて、自分でアレンジするときにも応用が効くのです。

 

料理本やネットのレシピを見ながら自己流で作るのとは大きく違います。

 

プロ並みの料理が自分で作れるようになると、自分で作るより美味しくないのに、けっこうなお金を払って外食するのがばかばかしくなって外食回数が減ります。その分浮いたお金はたまに作る高級食材料理用の資金とすると、さらに美味しいものを家で食べることができ、調理意欲がますます高まる、という好循環が生まれるのです(どうしても作るのが面倒なときは外食しますが安い屋台で。勉強を兼ねてレストランに行くのは外食しか選択肢がない旅行の際がほとんどになりました)。

 

日本ではこのような短期の調理コースが少ないのが難点ですが、シンガポールをはじめ、各国には探せば外国人でも受講できる数日間や1日のプロやアマチュア上級者向けコースがたくさんあります。海外旅行に行くついでがあれば、将来に備えてぜひこういうコースを体験してみてはどうでしょうか?