ミセス・ロウのシンガポール/石垣島デュアルライフ

50代から二拠点生活。都会&田舎で暮らす。

シンガポール的ワークライフバランスとは?

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この2年半、お世話になってるメインバンクの銀行の担当者から「投資適性のアセスメントをし直さなくちゃならないし、折り入って話もあるから来てほしい」と呼び出し。旧正月の挨拶もまだだったので、ちょっと出かけてきました。

 

アセスメントはすぐ終了。ポートフォリオ組み替えの話とか、最近のマーケットの話とか少しした後、おもむろに「たぶん銀行をもうすぐ辞めることになる。次の仕事はまだ決まっていない」といきなり告白されてびっくり仰天。というのも、つい最近彼には初めての子供が産まれたばかりということを知っていたからです。

 

1年半ほど前にはマンションも買い、そのローンも相当残っているはず。このタイミングでまたなぜ? と聞いたら、その理由を語ってくれました。

 

曰く、今年から昇進して給料も上がり、同時にノルマもきつくなった。営業なのでこれまでも夜や週末に働くことはよくあったけれど、ノルマ達成のためにはさらにハードに働かなくてはならず、家族と一緒に過ごす時間が確保できない。

 

また、ストレスのためここ数年太ってしまい、今はまだ若いからいいけれど、これからこの状態が続いて健康に問題が出たら一番困るのは家族だ。

 

なので、給料下がってもいいから定時で帰れる部署に異動させてもらうように上司に頼んだ。空きがあったら異動できるけれど、そうでなかったら辞めて他の仕事を探す。子供や妻のことを考えると決断するなら今しかない、と考えたとのこと。

 

確かになー、と納得しました。

 

夫婦で家事を分担するのはこちらでは当たり前。特に最近の若いカップルはメイドさんを雇わない家庭が多く、夫が家事はもちろん育児にも積極的に関わります。健康維持のための定期的な運動もある程度以上教育のある層ではデフォルト。会社帰りに飲みに行ったり、残業や休日出勤が当たり前という人はほとんどが独身で、子供のいる家庭もちでは考えらません。

 

その中で必達目標の売上ノルマを与えられたら、ストレスがかからないわけがありません。そのストレスで病気になったり過労死することに比べたら、転職して収入が減るほうがよほどましです。

 

こういう時のリスクヘッジのために妻もフルタイムで働いているわけですから。

 

私の夫も同じでした。

 

業界は違いますがこの数年、営業の仕事をしていた夫。毎年売上目標を決められ、毎日家に仕事を持ち帰っては、夕食後にコスト計算したり電話会議をしたりしていました。

 

夜中や休日でも同僚や上司から電話がかかってくると即座に仕事モード(世界中の支社のチームと仕事していたため時差が半端なくありました)。まったく気が休まるときがありません。しかも大きなコンペが一年に何度もあり、たまの休暇のスケジュールも直前までたてられませんでした。

 

それでも数年間は何とか目標達成してそれなりの給料ももらっていたのですが、クライアント企業の業績が悪化したため、とうとう昨年は前期目標未達。上司から肩叩きされたので辞めると夫から言われたときには、すぐに諸手を挙げて賛成というわけにはいきませんでした。

 

なにせまだ50代半ば。ずっと自分で商売をしてきた私と違い、夫はサラリーマンの経験しかありませんし、仕事がかなりニッチなだけに汎用性がありません。同じ仕事だったら別の会社でも雇ってもらえるかもしれませんが、もうこの仕事はしたくないと言っているので50歳過ぎてて再就職は難しそう。このままずっと無職で家にいられたら毎日24時間2人で過ごさなくてはならない…。

 

と思い悩んでいる間にも、夫はさっさと仕事を辞めてきてしまいました。

 

その結果、一番大きく変化したこと。

 

夫のおやじ臭がまったくなくなりました。

 

それまでは明らかに年齢相応のおやじ臭があったのですが、仕事を辞めた後、もともと好きだった運動をよくするようになり、数カ月たつ頃にはすっかり体臭が消えていました。あの体臭は積もり積もったストレスのなせる業だったのだと、今ではよくわかります。

 

一日中家にいるようになってから、最初は二人とも自分のテリトリーを確保するので多少のいざこざもありましたが、最近は棲み分けもある程度でき、家事も以前よりずっとできるようになったので(育児は以前から夫の方が比率が高い)私としてもなかなか助かっています。

 

会社を辞めてそろそろ1年。将来は自分で小さな商売を立ち上げるつもりで以前の同僚たちと会ったりしていますが、計画がうまくいってもいかなくても、それなりに充実して毎日を過ごしてくれればいいかなと今では思います。

 

仕事もお金も大切だけれど、最後の最後に頼りになるのは自分自身の健康と家族。その健康や家族を犠牲にしてまで仕事をする必要はない、と改めて思った次第です。