ミセス・ロウのシンガポール/石垣島デュアルライフ

50代から二拠点生活。都会&田舎で暮らす。

投資とは最終的には好みと将来ビジョンの問題だと思うこと

日本電産ショックから1カ月半が過ぎ、今度はルネサスが最大2か月の工場稼働停止を発表。昨年末の株式市場暴落の記憶も鮮明な中、ここ十年近く続いたアゲアゲ、イケイケの世界経済の行方が気になるところです。

 

この動きとは正反対に、年明けからは米中貿易摩擦問題回避のニュースを受けて中国株式市場が大幅に回復。つられて米国株式も値上がりし、そのささやかな余波を受け、今年は私のシンガポールの会社の旧正月中の売上も過去最高を記録しました(中国観光客の爆買いがかなりすごかったそうです)。

 

いっぽう、この相場がずっと続くとは恐らくほとんどの市場関係者は考えていないはずです。景気や株式相場というのは上がったら必ず下がるものであって、永遠に上がり続けることなどありえない。チューリップや仮想通貨バブルがその好例です。

 

その証拠に、私のメインバンクであるシンガポール政府系のDBS銀行のオンライン画面では、去年までずっとトップ画面に出ていた雄牛の写真(強気市場を表象)が年明けには消えてしまいました。熊の写真(弱気市場)は一瞬出ましたが、現在はニュートラルというところなのでしょうか、どちらもありません。

 

こういう状況になると、私のようなセミ・リタイアやリタイア世代が考えなくてはいけないのがポートフォリオやアセット・アロケーションの組み替え。 

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昨年末くらいから少しずつ資産の配分を動かしています。

 

一番最初に手をつけたのは借入の縮小。

 

口座を作った際に、銀行に真っ先に薦められてレバレッジをかけた積み立て型米ドル保険商品を買ったのですが、米ドル建てのこの分の借入を半分に減らしました。金利が上がって利払いがけっこう大変になっていたところ、これでだいぶ月々の利払いが減って楽になりました。

 

返済のために売ったのはやはり銀行が勧めてきた比較的安全と考えられている金融系の社債。これにより、金融セクターの比重が非常に小さくなりました。そもそも金融セクターは全体の景気に左右されやすいのと、フィンテックが進行した場合にどうなるか私などには予想がつかないので積極的に買う気にはなれなかったのですが、銀行は同業のよしみかとにかく好き。私としては、自分で理解できない業界の資産が減ってやれやれというところです。

 

借入返済ばかりしてると銀行の担当者の売上が激減してしまうので、少しは彼の顔もたてるため新たな借り入れも起こしてお薦め商品を検討。

 

これで買ったのは政府系投資会社Temasekが所有するテクノロジー関係の新規募集社債。今後のSmartCity構想の中で5Gへの移行インフラ整備のための社債発行と思われるので、全額借入で即買い。2カ月足らずで3%近く値上がりしました。これ以外にもテクノロジー関係の株は利益確定のため売却した一部と、あまりにも高くなりすぎた米株の一部を除いて保有したままにしたいと思っています。

 

もう一つ増やしているのはREIT関係。シンガポールのREITはこれまでもいくつか買っており、高配当が魅力。平均で年6%~7%はあります。住宅関連はすでに飽和状態からの値崩れ懸念で売ってしまいましたが、商業施設(コマーシャル)、ホテル(ホスピタリティ)系はこれからだと思って買い増し。中には2桁配当のインドネシアReitも入っています。昨年末にバリで実際に現状を見てインドネシアはさらに伸びる予感。また、香港の財閥系の不動産系社債も近々購入予定です。

 

買ったときより大幅に値段が下がったまま塩漬けになっているのはテクノロジー以外のインフラ系の株が2つ。配当もしょぼいので売ると損が出るので売れない。ただしTemasek銘柄なので当分ゼロになることはないはずだと思って長期保有の構えです。基本的に両方ともインド市場に強いシンガポールの会社の株なので、インドの経済成長が堅調に推移して業績好転できるかどうか期待しています。

 

これ以外にも昔から持っていて、満期になったらまた新規債を買っている大好きなコモディティの会社の社債はそのまま保有。ポートフォリオは保険35%、社債30%、株30%、現金5%ほど(社債と株は半分くらい投資信託)くらいの比率。現金比率をあと5~10%くらいは上げたいところ。年齢的にはこんなもんかなと思います。

 

しかし、こうして改めて振り返ってみると(保険は別と考えるとして)、私の投資は、不動産とかインフラとかの都市開発分野と通信や情報機器、ロボットなどのテクノロジー分野にかなり偏っているのがわかります。その理由はつまるところ、都市のインフラがどんどん整備されて、AIやロボットが縦横無尽の活躍をする未来ビジョンを私がもっているということなのだと思います。

 

これとは反対に、例えば私が熟知している業界である繊維業界などはまったくもっておらず(ユニクロの社債は一時もってましたが、1年もたたないうちに繰り上げ償還されてしまいました)、銀行がいろいろ薦めてきたメディカル系は金融系と同じでよくわからないので結局は手を出さずじまい。中国株も共産政府の一声でどうなるかわからないので、投資信託の一部に組み込まれている他は買いません。要するに好きじゃない業界や企業、国には投資してないのです。

 

 好きじゃないのに買って失敗したなーと思う会社はいくつかありますが、その代表がFacebook。

 

最初から企業姿勢とか理念(というものがあるかどうかは疑問ですが)に賛同できないところは多々あったのですが、広告を出してみて非常に使い勝手がよかったので買ってみました。その結果は周知の通り。最近少し戻してきましたが、まだ含み損が出ている段階で、このまま売ってしまおうかどうしようか考えています。

 

Facebookにかかわらず、好きじゃないけど儲けられそうという株で損した経験は他にもあります。逆に、この会社(や国)はいい、と思って買った株や投資信託が値下がりしても精神的にそれほどショックは受けません。倒産しない限り持ち続けていればそのうち上がるかもしれませんし、共感できるビジョンがあれば苦しいときでも応援してあげたいという気持ちになれるからです。

 

商売も投資も、好き嫌いやビジョンだけでは実際の利益にはつながりませんが、ずっと続けて持ち続けていこうと考えると、やはり投資対象と共感できることが重要なのだと改めて思います(仕事としてされている方はこの限りではないかもしれませんが、ひふみ投信が人気となっていることを見ても、やはり同じかもしれません)。