ミセス・ロウのシンガポール/石垣島デュアルライフ

50代から二拠点生活。都会&田舎で暮らす。

「お金=自由」だと思うこと。そして若いうちは不自由でいい。

ある若い方が、ブログで「みんなお金の話をしてる。お金ってなんだ?」と嘆いてらっしゃいました。私も若い頃にはずいぶんお金ってなんだ、と考えましたし、今も考え続けています。その結果、現段階では私は、

 

お金=自由

 

だと理解しています。

 

私の若いときは当然のように、お金がありませんでした。バブル時代でしたので仕事はありましたが、フリーランスだったので仕事は不安定でいつなくなるかわからず、必死で働きました。とても忙しいときでも断ると次がなくなるのではないかと心配して、ムリして仕事を引き受けたりもしました。

 

たまにはストレス発散のため20万円もする洋服を買ったりとバカなこともしましたが、基本的には得た収入の中からこつこつ貯金をして、贅沢もしませんでした。 当時の貯金通帳を見ると、現在とほとんど食費額が変わっていなくて笑ってしまいます。 

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バブルがはじけた後留学できたのは、当時とにかく頑張って働いて稼いでこつこつお金を貯めたからだと思っています。稼ぎも悪くありませんでしたが、派手にお金を使えていたかというと決してそんなことはありませんでした。

 

留学後に香港で数年間働き、実家に戻って家業を継いでからはもっとお金に悩まされることになりました。

 

会社の債務保証のために担保物件として父から土地を買い、その返済を月々の給料の中から支払わなければならなかったこと、そして3年もたつ頃にはお客さんの海外移転のために注文が毎年激減していったために自分の給料を下げざるを得なくなり、会社の債務と自分の借金の返済だけでとにかくいっぱいいっぱいったことが原因です。

 

この頃は同時に、急激な右肩下がりで業績が悪化していく会社をどうやって倒産させずに再建するかに追われ、文字通り休みもなく朝から晩まで働きました。もちろんお金はいつもなく、返済の資金に加え、自分の給料のみならず社員の給料をどうやって払うかにも腐心していました。

 

ストレスフルな毎日の連続。しかし、サラリーマンと違い社長でしたので辞めるわけにはいきません。健康だけが取り柄の私が、帯状疱疹のため1週間近く入院したのもこの頃です。

 

当時は金銭的にも時間的にも、そして精神的にも大変不自由だったと思います。

 

夫の支えもあってこの時期を何とか乗り切り、40代後半には少しずつお金にも余裕がでてきます。しかし贅沢をしたいとはとても思えませんでした。

 

会社の業績が良いからといって、その状態がずっと続くわけではありません。個人的にもやっと返済が終わり、預金や投資ができるようになりましたが、投資に失敗したりインフレで預金の価値がなくなったりすればささやかな余裕資金などすぐに消えてしまいます。

 

ですので、それまで通りまったく贅沢することなく、引き続き真面目に働きながら貯蓄や投資を続けました。まだまだいろいろな面で不自由だったと言えるでしょう。

 

そして2年半前にセミリタイア。退職金や会社に貸していた土地を売ったお金などである程度まとまった額のお金が入りました。

 

今度こそ本物の自由が手にはいったのです。

 

現在は、まず、家のローンも含め借金がまったくありません(投資用の借入はありますが全資産の一定割合以内に抑えています)。

 

お金のために嫌な仕事をする必要がありません(今でもときどきバイトしたりしますが、嫌な職場だったらすぐに辞めます)。

 

ローンの支払いや子どもの学費に悩む必要もありません(子供の将来の学費資金は上の記事にも書きましたが、別に学資保険で積み立ててあります)。

 

何かを買ったり、旅行や勉強や留学したいと思ったら、途方もない贅沢でない限りできないことはありません(でも欲しいものがあまりないので、勉強や旅行以外にたいして大きなお金は使いません)。

 

仕事に影響するかもしれないと、嫌いな人に頭を下げたり、言いたいことを言えなかったりすることはありません。自分がしたい仕事をし、自分が気持ちよい、自分にとってよいと思ったことだけをできるのです。

 

 プライベートジェットが欲しいと思ってる人はこんな境遇になっても決して満足せずに不自由を感じるのかもしれませんが、私はこのささやかな幸せを毎日かみしめながら生きています。恐らく多くの定年退職したサラリーマンの方々も同じ思いではないでしょうか。

 

しかし、この自由を満喫できるのは、やはり若い頃から中年期にかけての長いお金に苦労した時期、いろいろな面で不自由な時期があったからだと思います。お金に苦労しなくていい自由の尊さがわかるのは、お金のもつありがたさが身にしみているから。

 

日本にはお金の話をするのははしたない、と考える風潮がありますが、関西の商売人は「お金がないのは首がないのと同じ」と言います。先立つものがなければ、大切な仕入れ先さんへの支払いや、ひいては社員への給料の支払いさえできなくなってしまうのですから、お金は頭と同じくらい大切なものなのです。

 

冒頭の方のように若い、まだお金に苦労しているうちは、ついついお金の話に拒否反応が出てしまうこともあるかもしれません。しかし、将来のことを考え、一生お金のために不自由な人生を送らなくてもいいように、早くから準備を始めるのも一案ではないでしょうか。

 

そして自由になった今だからこそ、私が世の中に対してお返しできることもあると思います。これまではいろいろな意味で不自由でしたくてもできなかったことを、少しずつ実践している最中です。