ニョニャ料理の街、マラッカ。
そもそも私たち一家がマラッカに通いつめるきっかけになったのが、夫の会社の社員旅行。夫はその時に食べたマレー半島の華人料理ニョニャ(またはパラナカン)の味が忘れられず、1か月後には家族で出かけたのです。
忘れられない味のレストランは、こちら。Restoran Auntie Lee。1997年の創業で数年前まで名前通り李おばさんが厨房を仕切って経営していました。私たちも一度だけお話ししたことがありますが、当時すでに70歳を超えていたと思います。
現在は別の経営者になりましたが、その味はまったく変わらず、似たような名前のフェイク店ができるほどの人気も揺るぎません。従業員も長年勤めている人たちがほとんどで、サービスもとても良いです。
注文するメニューはいつも決まっています。
左上からオクラのニョニャ・ソース、アヤム・ブアクルア、エビとペタイ豆の炒めもの。この後に来たのが娘用に辛くない鴨肉入りスープ。
ニョニャ料理の味付けを一言で言うと、辛くてちょっと酸っぱくて甘くて、いろいろなスパイスやハーブが複雑に効いていること。酸味はタマリンドの果肉を使うのですが、ペーストを水溶きして使うことが多い店が多いのに対し、ここのは乾燥してスライスしたものが入っています。そのためけっこうさらさらと上品な味に。ちょっと客家風。
アヤム・ブアクルアはハマグリのような形の黒いナッツ「ブア・クルア」を何日もかけて下処理して作る料理で、普通の家庭ではよほどのことがなければ作れません(最近は市場で調理済のものを売っているので、私はたまにそれを使って作ったりします)。
当然、シンガポールで食べるとたけっこう高価な料理なので、ここぞとばかりに食べます。ここのはカフィア・レモン・リーフがたくさん入っていてフルーティーな香りがたまりません。満足。
ボリュームたっぷり、ビール大瓶1本つきで、3人で2,600円くらいでした。
李おばさんのお店は、ちょっと郊外にあり車でないといけませんが、ショッピングモールが林立する地区にある有名店がこちら。Restoran Nyonya Makko。夫の説明によると、Makkoは「一番年長の伯母さん」という意味だそう。1984年創業。地元の人がほとんどでいつも行列ができています。
ひたすら外で待つ私たち。
同じメニューに(鴨スープとオクラはこの後きました)プラスして、ビーフ・レンダンという牛肉のスパイス煮込み。ここの料理は全体的にちょっと酸味が強くて甘みが少ない上品な味。人気店だけのことはあります。また、突き出しで出てくるクリスピーなエビクラッカーもこの店の名物で、ほとんどのお客さんが巨大な袋入りを買って帰ります。
残念ながらビーフ・レンダンはダメでした。CNNの「世界でおいしい料理」投票に何年も続けて選ばれているこの料理は私の石垣島のカフェの看板メニューですが、これまで食べて美味しいと思ったのは、自分が作ったのと、李おばさんの店と、シンガポールのViolet Oonの店のみ。けっこう難易度が高い一品です。
店内はこんな感じ。いつも混みあっているせいか、サービスには期待しないほうが良いかもしれません。ビール大瓶2本つき、エビクラッカー大袋2つつきで約3,800円。街中ですがけっこうリーゾナブル。
おまけです。
観光名所のジョンカー・ストリートから1本入った道にあるチキン・ライスの店、古城鶏飯粒店。粒のチキン・ライスが有名らしいですが、マラッカの代表的なかき氷デザート、チェンドルを注文。コクのあるココナッツミルクと「グラ・マラッカ」というココナッツから作った黒砂糖がたっぷりでさすが本場の味。
壁にはマハティール首相や、香港のグルメ評論家チョイ・ランの写真も懸っていました。1杯150円くらい。
今回は2食しか食べられませんでしたが、次は3食食べたい! 胃が一つしかないのをいつも神様に恨むマラッカ旅行です。