ミセス・ロウのシンガポール/石垣島デュアルライフ

50代から二拠点生活。都会&田舎で暮らす。

中華食材だったら何でも揃う、驚異のシン・ション・スーパーマーケット。

シンガポールのスーパーマーケットで私のイチオシといえば、どこに行っても見かける最大手のFairPriceや、欧米からの輸入品が多くおしゃれな高級品も揃うCold Strageではなくて…、

 

昇菘超市(Sheng Siong/シェン・ション・スーパーマーケット)と、ムスタファ・センター。

 

www.mrs-lowe.com

 

という私も恥ずかしながら、ごく最近までこのスーパーに入ったことがありませんでした。というのもコアのターゲット層が華人系シンガポール人とシンガポールで働いている中国人労働者のため、全部で54店舗もあるわりには、彼らの生活圏に近いところ以外に店がないのです。

 

特に私が住んでいる地域は、シンガポールの中でもかなり華人割合が少ない場所なので徒歩圏内にはないですし、ちょっと離れたところにある店は公共駐車場しかないので不便。

 

ということで長らく敬遠していたのですが、調理師学校や公民館の料理教室に通ってマレー半島の華人料理、ニョニャ(パラナカン)料理を習っていると、近所のスーパーやマーケットではみかけたことのない材料がいろいろと出てきます。「どこに行けば買えますか?」と先生やクラスメートに聞くと、必ず返ってくる答えが「シン・ション!」。

 

そこで意を決して車で10分ほどのところにある店舗に行ってみたら、確かにありました。探し物があったどころか、買うつもりがなかったものまで何でもある! 欲しい! 調理意欲がふつふつと沸いてくるのを感じます。

 

外観はどちらかというとしょぼくて、こぎれいではありません。しかしその品揃えたるや、基本的にシンガポールの中華系住民が日常食べているものの材料はすべて揃う。特に乾物などチャイナタウンでもなかなか入手しにくいものがいくらでもあるのです。

 

この充実ぶり。他のスーパーだったらこの1/3もあれば大満足。

 

それまでいくら他のスーパーマーケットを探してもなかった豆の形のままのドウチ(点心の豚バラ肉蒸しに使用。香港ではこれが普通ですが、こちらのはペーストになって甘く味がついている)をここで発見したときには、心底感動したものでした。

 

この驚くべき品揃えの理由は、中国の東北部から雲南省まで、シンガポールには中国各地から移民や労働者として中国人がやってくるので、彼らのニーズにも応えた品揃えをしているためではないかと推察します。

 

〇菜(京菜は北京料理、川菜は四川料理、粤菜は広東料理、滬菜は上海料理)とつくもの&東南アジア華人料理の食材がほぼすべて揃うのは、世界広しともここくらいしかないのではないでしょうか。

 

最近私が買ったニョニャ・チャプスイの材料の一部。

 

金針(ユリ科の植物の花弁を感想させたもの)は中国産、甘くて厚みのある湯葉は香港産(素揚げして使います)、香港ブランド李錦記の大豆ペーストは広東省産、そしてナツメ入りのカラメル状の濃醤油はマレーシアのペナン島産と、とにかくいろいろな産地。どれが欠けても正統派ニョニャ・チャプスイは作れません。

 

店の入り口にできていた特設ちまきコーナー。

 

同じちまきでも地域によって入れるものが違います。義母が作るニョニャちまきは乾燥させて砂糖をまぶした冬瓜入り。マレーシアやシンガポールではポピュラーなのでここでも売られていますが、中国本土はもちろん、香港や台湾にもこんなものはないはず。もちろん正統派香港のちまきには欠かせない栗も、茹でたのから乾燥したのまでいろいろ売っています。

 

我が家から一番近いお店はけっこう小さいのですが、中国人労働者の人がたくさん住んでいる地域なので品揃えはかなりいいです。しかも24時間営業。

 

シン・ションは1985年創業なのでそれなりに老舗、シンガポール株式市場にも上場していてシンガポールを代表する企業の1つです。しかしシンガポール企業には珍しく海外展開はほぼしておらず、1年半前の2017年に中国の昆明に海外1号店を出店したばかり。

 

sbr.com.sg

 

シンガポールと同規模の人口であること、一帯一路構想の途上あることが昆明を選んだ理由だそうです。資本は現地企業との合弁で、うまくいけば中国全土に展開、もし失敗してもたった6億円の損失しか出ないとのこと。さすがシンガポール華人、しっかりしすぎ。

 

一消費者としてのみならず、今後の投資対象としても非常に面白いスーパーマーケットだと思います。