ミセス・ロウのシンガポール/石垣島デュアルライフ

50代から二拠点生活。都会&田舎で暮らす。

生命保険の見直しは50代で。~ 『生命保険はヒドい。騙しだ』副島隆彦著

 

経済評論家である著者が65歳で生命保険契約更新をしようと思ったら、いきなり5万6千円の掛け金が16万3千円になると言われてぶち切れ。いろいろ調べて保険会社相手に戦うお話です。

 

生命保険のことはまったく知りませんでしたが、たいへん勉強になりました。

 

著者は25年間生命保険に入っていたものの、その大部分(4800万円)が「定期特約」という掛け捨てで、68歳までに死ぬか更新して約3倍になる保険金を支払い続けないとこの部分の保障はゼロに。それ以降も残る主契約である終身部分は80歳の満期で100万円、65歳の現在解約したら80万円だけが戻ってくると告げられます。

 

65歳の現在、死亡したら5千万円の保険金が妻に残されますが、日本人の65歳までの死亡率は1%。「65歳だと100人に1人しか死なない」、つまり保険会社の丸儲けになると著者は主張します。

 

といっても、保険会社はそれをまるまる懐に入れてしまうわけではありません。満期になったら返還される「積み立て金」という部分が、著者の掛け金月額5万6千円のうち1万7千円。ところが、この部分も過去3回行った「契約の転換(見直し)」ごとに取り崩されたためほとんど残っておらず、返戻金(へんれいきん)はゼロ、配当金はたった2万8千円。

 

確かにあまりにも理不尽。著者が激昂する気持ちもよくわかります。

 

しかし、支払ってきた1,300万円ほどの掛け金が100万円程度しか戻ってこない(後半にはこれすら戻ってこない可能性があると判明)という事実に筆者が気がついても後の祭り。契約書にサインしてしまっているのです。

 

賢い人は、終身保険の部分が500万円ぐらいあって、55歳で掛け金を支払い終了にしても500万円だけは、死んだときに確実にもらえるものにしている。だから「 終身もらえる保険金」なのだ。

 

と著者が嘆くように、最初に主契約をいくらにするか、そして何歳で保険を止めるかで支払額と払戻額の額が大幅に違ってくるそうです。が、そうすると保険会社の利益が減ってしまうので、主契約部分をできるだけ少なく、定期保険(掛け捨て)部分を多くしようと保険レディは勧めるのです(著者によれば)。

 

さらに筆者は2017年11月23日号『女性セブン』に掲載された、泉ピン子(70歳当時、以下同)、橋田壽賀子(92歳)、黒柳徹子(84歳)の生命保険トークを紹介。泉ピン子さんは終活で生命保険を解約した理由を、夫に保険金を残す必要性がないからと話します。

 

同時に記事中では、「生命保険の見直しは70歳では遅すぎる」とファイナンシャル・プランナーの言葉も紹介。

 

子供が成人後、50代で生命保険を見直して保険料を減らし、「定期保険特約付き終身保険」の終身部分のみ残して定期保険部分は解約する(子どもが独立している場合はすべて解約するのもあり)のがいいとアドバイス

 

確かにピン子さんやファイナンシャル・プランナーの方が言う通りで、自分が死んでも困る人がいないのに漫然と保険金を払い続けていると、老後の備えに回すお金が減るばかり。貴重な収入は、死んでからもらえるお金より、生きている間に自分が必要なお金に回すのが本筋です

 

私自身は、40歳半ばまで子供がおらず生命保険に入る必要がなかったのと、保険レディが親しい知り合いにいなかったことが幸いして、生命保険とはあまり縁がありませんでした。

 

これまでに買ったのは、社長時代に銀行から勧められて入った積み立て型の生命保険(支払った保険料が会社の経費に算入できて解約すると最大で95%ほどが払い戻される)と、現在入っているやはり銀行が販売する貯蓄型の生命保険(一時払いで5年後から引き出し金がプラスとなり、20年間で掛け金が約2倍になる予定)のみ。

 

正直なところ、保険会社の分厚い説明書をもらっても何のことを言っているのかまったくわかりませんし、読む気にもなれません。ただ、解約したときにいくら戻ってくるのか(この本で「返戻金」と呼ばれるものだと思います)慎重に確認し、それを基準に商品を選んできました。

 

とはいえ、本当に大丈夫なんだろうかと改めて怖くなったのも事実

 

いずれにせよ、50代以上で老後に向けて貯蓄しなければならない私たち世代が、目的がないままに生命保険の掛け金を払い続けるのは確かにムダだと思います。ムダな保険金を払うならその分を投資に回して、インフレになっても目減りしないように考えるほうが良いのではないでしょうか

 

自分が現在入っている保険を再検討するための機会として、著者の体験は大変貴重だと思います。